それでいいっしょ

ゲイHIPHOPライター鼎のブログ

赤札堂の神様

シェアお願いします♡

Sushi

あんまりブログに暗い話、そしてお金の話は書きたくないんだけれど、気が付けば無職も既に4か月目。お家賃を払いこもうと銀行口座を見たら非常事態宣言が遂にあたしの中で出されてしまった。

そもそも6月に入ってからはクラブ遊びも自粛しているし、ここだけの話、そろそろバイトをしようかと水面下で動いている。そして徹底して自炊に励んで支出を抑えている。
頂きものの玄米に半額の魚と半額の肉、3パック100円の豆腐と78円のアボカドと30円のもやし、そして玉子といった食材をローテーションさせて栄養価が偏らないように飯を作っている。世界で一番カヘオレという飲み物が好きなので昔は腐るほどチルドのカヘオレを買っていたが、今は1L98円の無糖コーヒーを130円の低脂肪乳で割って飲んでいる。
外食はほとんどしていないが、おかげさまでマヨネーズと味噌とポン酢さえあれば満足してしまう貧乏舌なので大抵は満足している。半額のブリの切り身をバターとニンニクで炒めて醤油を和える。そのシンプルなおいしさに底辺なう!なあたしは支えられている。

しかしどうしても我慢できないものがあった。刺身と鰻だ。
マグロの刺身は半額でも高く感じてしまう。あんなもの、ぺろりと一口だ。それが半額でも200円。高い。現在進行形で次々と届く不採用通知に精神が崩壊しそうになるも、何とか耐えながらこう思うのだ。
お刺身食べたいよお

先日、無意識のうちに「仕事が決まらない」とググって自己啓発系サイトにたどり着き、「あなたに魅力がないからです」という無神経な一文に怒りを覚えた。こんな残酷な文を紡いだ輩は末代まで呪われてしまえばいいと本気で思っていたが、この怒りも不採用通知がもたらす絶望感もきっとお刺身が癒してくれるだろう。

ヤミ金ウシジマ君の初期で、借金を抱えながらパチンコを続けてしまう老婆が「お刺身食べたいよお」と繰り返していたが、まさにそんな気持ちである。マグロが食べたい。エンガワが食べたい。ウニが食べたい。サーモンが食べたい。イクラが食べたい。明太子食べたい。えっとウニ!アワビ、甘エビ、トロとイクラ、がっびーんそれ全部でいくら?っていうのはEAST END×YURIのまいっかだけど、それを思わず口ずさんでしまうほどだ。

働いていたころは職場の近所にウニの美味しいお店があり、1貫250円で食べれたのでたまに食べに行っていた。あの頃は幸せだったんだなと今になって思う。いや、パワハラに満ちた環境で神経をすり減らしていて、それを癒してくれてたのはあのウニだった。今も近所で600円均一の海鮮丼屋はあるのだが、残念ながらウニもイクラも入っていない。北海丼という商品に申し訳程度にトビコが乗っているだけだ。そんなものではこの渇望は満たされない。

今日もヨガに行き、そのあと2kmノンストップで泳ぎ、空腹感と闘いながら「刺身」「」とただひたすら脳内でつぶやき続けた。なんなら泳いでいる時から呟いていた。酔っぱらった時に「アンデッド牧迫」というあだ名がついたことがあったが、まさに今日もアンデッド状態だった。アンブレラ社は責任をもってアンデッドなあたしに鮨を食わせるべきだ。

そんな欲望を胸に秘めながら今日も今日とてジムの帰り道に赤札堂で半額セールの魚を漁り、2割引きの豚コマを買う。そしてあれを見つけてしまったのだ。

特上寿司1480円。これがなんと半額で740円になっていた。痛い出費だが出せないこともない金額だ。鮮度の悪い赤札堂の特上寿司っつったってたかが知れてはいるが、ホンマグロが2貫入っているのをあたしは見逃さなかった。「たまにはいいよね」と自分に言い聞かせながら購入し、罪悪感と満足感の狭間で人知れず喜びのワルツを踊った。

さっそく近所の公園で食べた。ホンマグロを口にした瞬間、脂のうま味が広がる。しかもピンク色したトロもタラバガニもイクラもウニも甘海老も入っていた。あたしが望んでいたものすべてが入っている。赤貝だってエンガワだって悪くない。サブメンバーの玉子だって美味しかった。久しぶりに満たされた思いがした。

できるだけ明るく振舞ってはいるが、正直言って無職はつらい。とても惨めで絶望しかない。高い学費を出して大学まで出してくれた親にも申し訳が立たない。そんなつらさに耐えているから赤札堂の神様がほんの少しの幸せを恵んでくださったのかもしれない。そもそも、赤札堂に神様がいるのかどうかもわからないけれど、これを活力に明日も就職活動に励もうと思えるのであった。

それでいいっしょはamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。