先日の東京クラッシュグルーブの余韻がまだ残っている。STUTSの鮮やかなMPC捌き。ユビートかポッピンの達人かと思うほどに、俊敏に両手を動かして音を紡いでいく。彼の頭の中で瞬時に構築された音楽がそのままMPCを通して生み出されて放たれる。あんなにスマートな彼の中のどこにそんなパワーがあるんだろうと思わせられながら、目の前の演奏に飲みこまれていく。
KMCの熱いラップとの相性も良かった。STUTSのアルバムが発売されると聞いて、itunesで即効購入したんだけれども、当日のライブでは目の前で繰り広げられる演奏とラップに圧巻されて、周りの目も気にせずに号泣してしまっていた。
STUTSとは
そもそもSTUTSって?って話なんだけれど、1989年生まれの新世代トラックメーカーだ。一見するとHip hopなんて絶対に聞かなさそうなスマートな外見で、実際に話してみてもとても物腰の柔らかいお兄さんだった。
が、しかしその実力と実績は凄い。あたしは、O.N.O制作曲目的でKMCのCDを買った時にKINGでヤラれた。
前半の曲も良い。Stutsのジャジー、かつ動きのあるトラック。その動きにもれなくついてくるKMC。Kids are alright。KINGなんて哀愁感がでていて涙すら出てくる。ああ、あたしがUS産のhip hopに現を抜かしているうちに日本ではこんなトラックメーカーがでてきてしまったんだっていう嫉妬。
EvisbeatsやDJ MITSU THE BEATSにオリーブオイル。Nujabes以降に出てきた、綺麗でジャジーなビートを作る人たち。その中で最も期待されるホープがSTUTSだと当時思った。
ちょうど自分が把握していた限りではKMCの他にもBOBO THE TRIMMERやZONE THE DARKNESSなどのアルバムでもSTUTSのクレジットを確認できる。それらはFat jonやAsheru&bru blackなどのジャジーさを彷彿とさせる美しいビート。でもそれだけじゃなかった。いきつけのバーでよく流れていたザ・なつやすみバンドのSSWもSTUTS制作だというからびっくりする。とても同じ人が作ったとは思えない。なんたる音楽性の幅の広さ。
追いかけきれていないが、ダースレイダーといった大御所にも曲を提供していたり、これまたジャジーhip hopの若手のホープでもあるFla$hBackSのjjjとも共作していたりして、とっても凄い。ちらっと聴いただけだけどRAU DEFのSTINGAもかっこよかった。※その他のSTUTS worksはこちらから works | STUTS
めっちゃMPC凄いからね。まあ、とりあえずこれを見ておくんなまし。
この演奏を生で見たときの感動ったら。そんなわけで彼の肩書はトラックメーカーでもあり、MPCプレイヤーでもあるのだ。
pushin'
というわけで先日の余韻に浸りながら彼のソロアルバムpushin'を聴いている。で、どうなのよっていうと、めちゃくちゃいい良い。多彩であり、多才でもある。
なんていうか、色んなアーティストが曲を提供したオムニバスアルバムを聴いている気分になる。ゴリゴリのhip hopもあれば、ジャズのインスト、そしてネオソウルに、浮遊感のあるR&Bなどいろんなジャンルの曲が楽しめてしまう。
別の人が作ってるんじゃないの?って思ってしまうくらい柔軟で音が多彩なのだ。アルバム丸ごと飽きずに聴いていられるし、STUTSの年齢からしても更なる伸びしろを期待せずにはいられなくなる。
夜を使い果たして
まるで広瀬香美が作ったかのような甘いメロディと、今もっともイケてるラッパーの一人と言っても過言ではないPunpeeのラップが織りなす哀愁ソング。
Rock the bell
散々推してるけどやっぱりこの二人は相性がいい。心がのびやかになるような爽やかなビートに乗る熱く煮えたぎったKMCのラップ。こんなキャッチーな曲でKMCも歌んだね。新境地がまた切り開かれた気がする。
Furious
kid fresinoとSTUTS、Jazzy Hip hop界のホープ同士の共演はどうなるかと思いきや、意っ外とゴリゴリでびっくりした。でもアルバムとしてのバランスを絞める良いスパイスとなっている。
Sail away
Alfred Beach Sandalの女性のようなハイトーンボイスと浮遊感溢れるトラックが気持ちよくマッチしている。1オクターブ低いbirdの曲、みたいな仕上がりで個人的に大好き。
Called game
呂布カルマとK.LEEの名古屋コンビを起用したCalled gameはBPM早めのノリノリチューン。STUTSっぽさを残してあるけれど、とってもフロア映えしそう。
Shadow
ありゃまー、jjjとkid fresinoが揃っちゃった。淡泊ながらも絶妙な間合いでバウンスしていてなんともソウルフル。Fla$hBackSらしさが活かされている。
Special day
浮遊感のあるトラックにchiyoriの透明感のある声が絡んで、気持ちの良いR&Bに仕上がっている。華があるよね、ある意味、アルバムの中のハイライト。
5th dimensional trip
UK RBやネオソウルっぽい曲。完成度が高くて、ビラルあたりにも歌ってほしいとか思っちゃった。
イントロ曲も全部いい!
これで終わりじゃないよ。イントロ曲も全部いいの。ベクトルは違うけれどもheadnodicくらいクオリティが高くて、どの曲もフロアで流せてしまう出来なのだ。
なーんて長々と紹介してしまったんだけれど、少しでもSTUTSの良さが伝わればこれ幸い。itunesならアルバムで購入するととってもお得なのでぜひ聴いてみてねん。
STUTSが好きな人はKMCのアルバムもおすすめ!STUTSが5曲プロデュースしてるよ!
そしてなんとあっこゴリラの新曲でSTUTSとコラボ。軽快だけどとってもメロディアスなディスコチューン!
これからもSTUTSの活躍から目が離せない!