それでいいっしょ

ゲイHIPHOPライター鼎のブログ

飲み友達が引っ越してしまう。

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僕はわりと下町界隈の飲み屋コミニュティーが好きで、実際の交友関係もそっちの比重が占めているんだけど、贔屓の飲み屋が休業してからそういうものも途絶えてしまった。特に僕は一期一会的な遊び方が好きで連絡先を交換することもなかったので本当にあっさり途絶えた人もいる。それでも最近ようやく近所のスーパーなんかで皆にばったり会ったりして、元気してんの?って盛り上がったりするのもの楽しいんだけど、先日は飲み屋でよく一緒に飲んでた40歳のあんちゃんに出会い、そのまま宅飲みに誘われたのでお邪魔してきた。

うちから徒歩五分くらいの所に住んでいて、うちよりも4万も家賃の高いその部屋はまあまあ広くて綺麗で、でもアラフォーのバツイチのあんちゃんが一人で住むには優雅で少し寂しい感じがした。元々HIPHOPが好きな彼はAKINYELEを爆音で流しながらとてもおいしいワインを振舞ってくれた。そもそもあんまり宅飲みをすることはないので、これは何かあるなって思ったら、実家に出戻るつもりだと話してくれた。部屋も少し片づけ始めている様子だった。

あんまり個人的な情報は書けないんだけど、飲食業をやっていて、最初は仲間内で小規模でやってたのに下手にやり手だったから千住だけでなく池袋だのと店舗も増えてしまって、キッチンも増やして事務所も増やして、社員もバイトも増えてとんとん拍子だったのに、このコロナで一切営業ができなくなって売上がなくなってしまった。でも社員もバイトも食わせなきゃいけない。思い切ってテイクアウト営業を始めたところで、今までみたいにお酒もコースもないお弁当の売り上げなんて微々たるもの。それで苦渋の決断として傷の浅いうちに畳むことになったらしい。

人当たりも良くて後輩社員の面倒見も良くて、皆を引き連れてよく飲み屋にきてた。きっとモテるんだろうけど、典型的な結婚に向いてない人。羽振りも良くて、僕も仕事明けの立ち飲み屋でばったり居合わせて何回かご馳走になったことがある。酔っぱらうと血の気が多くなって常連同士で喧嘩したなんて話も昔はあったけど、今となっては笑い話。まあ、大好きなお友達。

そんな友達といつものように馬鹿な話をして、笑いながら彼の心情を察していた。悔しいだろうなあ。仕事もノッてて、欲しいものもある程度手に入る生活を送ったのに、ある日突然一変する。ほら、僕なんかはもう仕事もトラブルだらけでいつもウジウジしたりしているから逆にコロナも冷静に受け止めてるけど、こんなに仕事に対して情熱を持っていた人がコロナのせいだから仕方ないと割り切るのは大変なことだったろう。それができるのが大人というものなのか。

「裾野を広げ過ぎたんだよ」と真面目な会話になったときに寂しそうに彼は笑った。また、一から始めればいい、みたいなことを言っていたけど、それがどんなに大変なことか想像もつかない。何も言えないよ。まだコロナが明ける気配もない。立場の違う、まだ安全圏にいる人間が無理に心を寄せるっていうのも失礼になりそうで。また飲もうよ、としか言えない。
そもそも明日は我が身だもん。他にも職を失った人の話も聞くし、この状況をなんとか耐えてる人もいっぱいいる。行動も制限されて、会いたい人にも会えない。なんなんだよ、この世界は。悔しいよ。

その日はひたすら音楽を聴きながら夜更けまで飲んで、なぜか彼は酔った挙句に「お前んち行くぞ」と言い出したと思ったら本当に我が家に来てしまい、ADHD特有の汚部屋がバレて「何なんだよこの部屋は」って怒りながらゴミ袋にゴミを放り込んで持って帰ってくれたっていう事件が起きた。好きな漫画も捨てられてしまったんだけど、あれは何だったんだろう。いかにも千住って感じのめちゃめちゃな夜を久しぶりに過ごせて面白かった。

少し反省してあれから少しずつ下手の掃除をしている。
でも引越してしまう前にまた飲もうよ。別に安酒でいいからHIPHOPを流して飲もうよ。スポティファイで君の好きそうな曲のリストも作ったんだよ。それ聴いて飲んで歌って踊ろう。立派なお部屋だもの、多少暴れても大丈夫っしょ。

そして行きつけの立ち飲み屋がいつか開いたら馬鹿な話をしながら350円のハイボールを煽るように飲もう。今度は僕におごらせてくれよ。言うて君の実家だって関東だし、すぐ来れるっしょ。もし僕が職を失って茨城に戻ることがあっても、日を合わせて千住で飲もう。

 

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