土曜日は朝4時起きで仕事だったんだけど、現場が終わったのが意外と早くて昼過ぎには帰宅。体調が悪いというか全く声が出なくなってしまったんだけど、寝たらちょっと調子が良くなってきたので、ウエノポエトリカンジャム5に遊びに行ってきた。もうほとんど終わりかけだったけどね。
ウエノポエトリカンジャム5ってのはで有名無名問わず、国内のポエトリーリーディングアーティストが集うイベント。2000年にさいとういんこさんという方によって1回目が開催され、今回は胎動レーベルを主催するikomaと三木悠莉という詩人によって8年ぶりに開催された。身内だと狐火さんが出ている。
狐火さんは例外だけど、あたしは実はポエトリーリーディングはあんまり得意ではない。ゴールデン街にある久絽ってお店が昔朗読イベントをした時に色々お手伝いしたりしたこともあったんだけど、言葉が真正面から体の中にダイレクトに入ってくる感覚が正直怖い。なんなら狐火さんの生ライブも散々感情が揺さぶられるのでいっつも消耗しちゃってるくらい。だからあんまり気が進めなかったんだけど、SNSを寝起きに開いたらゲイの知人が結構狐火の実況をしていて、上野は近いし、声もちょっと出るようになったので、行ってみようって思ったのだ。
そんで上野の水上音楽堂に向かったんだけど、すごく人がいっぱい。誰かいるかしらって思ってはじっこの喫煙所に行ったら案の定狐火さんと観音クリエイションさん、そしてモグラレコードのモグさん、梅酢君が飲んでたので乾杯。「かなえさん、声どうしたんですか」っていじられまくる。
そんで狐火さんと観音さんが「マサキオンザマイクさんにお酒を奢ってもらいましょう」とか言い出したからカツアゲする中学生かよって思ったけど、マサキさん腰が低くて本当に奢ってくれたの。
(カツアゲの瞬間)
あたし、全然マサキさんの音源は知らなかったんだけど、以前から狐火さんがめっちゃ推してて、調べてみたら大好きなPigeondustとWネームで音源のリリースとか予定してて一気に気になる存在になりました。
ちょうどステージ上では降神の志人がパフォーマンスしてて、ちょっと前にDJ Krushの音源も話題になってたこともあって見入っちゃった。凄いの、スキルが。高速ラップを極めすぎるとレゲエのラガみたいになるんだなってびっくりした。この人もわりとリリカルなアーティストだからそっちを期待してたら、スキルが凄くて圧巻された。
そんで会場をぐるって回ったらもつ酢飯からムノウちゃん、ハテブメイトのHontumaさん、加藤真弓ちゃん、ベロベロのジオラマ君などラッパーが多数。特に女優兼ラッパーの加藤真弓ちゃんはお互いに身の上話を話し込んでしまったんだけど、そのタイミングで始まる谷川俊太郎。
(谷川俊太郎と加藤真弓)
ああ、生で谷川俊太郎が見れる日が来ようとは。一見するとただのおじいちゃんだし、どこか儚げでファンタジーな光景なんだけど、やっぱり存在感が凄い、ファンシーで穏やかで、まるで風に吹かれる木綿のカーテンのような浮遊感。谷川俊太郎が一音一音発するたびにその世界が目の前に広がっていく。
「朝」などの名作をアドリブを混ぜながら暗唱する。
「もう85才になりました」
「おちんちんも本当にお疲れ様」
下ネタなのに根底にあるのは子どものような無邪気さだけでいやらしさが全然ない。
挙句の果てにはあの歴史的名作「なんでもおまんこ」を朗読。
地球とのセックスをテーマにした詩なんだけど、ちょっと歪んだ地球信仰みたいな内容。宮沢賢治が母胎回帰なら谷川俊太郎はガイア信仰ってワケだ。それをさらりと、でも本人も楽しみながらつらつらと朗読していく。夢のような瞬間に会場も盛り上がる。嗚呼、良いもの見れました。
今回はゲイの知人も何人か来てて挨拶もしてきたんだけど、他のイベントではなかなかないことだったので面白かった。しかも一人が観音クリエイションのファンだっていうから「あそこにいるから話かけてこよう」って行ったら全然違う人だったの。帽子に眼鏡だったのに顔が全然違ってた。ごめんなさい。
あたしは間に合わなかったんだけど、狐火さんのパフォーマンスがやっぱりすごかったみたいで、狐火さんの物販もソールドアウトだったそうな。狐火を初めて聴いたという知人が魅了されたって言ってたくらい。鹿児島から狐火さんを見に来たというファンも来てた。こうやって何度も飲んでるうちにどうしようもない人なんだなって思っちゃってるんだけど、狐火さんはやっぱりすごい人なんだなって改めて思いました。ちなみに狐火さんのバックDJのMiss one cupさんは飲みすぎて最前列で爆睡してました。どうしようもないコンビです。
あと単独でどうしようもなかったジオラマ君はケータイを失くし、やっと見つかるも画面がバキバキでかわいそうでした。お酒に呪われ、お酒に憑りつかれた人たちを見ることができた素敵なイベントでした。
それから狐火さんにくっついて上野で飲み直し。
加藤真弓ちゃんや観音さんもいる席だったんだけど、あら、見たことがあるって思った女の子がいて、紹介してもらったらRIN a.k.a 貫井りらんさん。
RINちゃんはIkomaさんの胎動レーベルから音源を出してる女優兼ラッパーなんだけど、とにかくRosarioの中毒性が凄い。
PVや声の印象から神経の細そうな人だなってイメージがあったんだけど、素顔は気さくなお嬢さんでした。もう酔っぱらって何話したか忘れたし、なんなら本人の前でかすれた声で「愛ウォ愛ウォ愛ウォォ」とかやってた記憶もあるんだけど、ずっとゲラゲラ笑ってた気がする。
そんでRINちゃんのlost boyでも共演してた磯友君、そしてクズレペゼンでもお馴染みの空也MC君も一緒でした。なんだよ、この豪華なラインナップ。
その向かいのテーブルでは狐火観音梅酢の三馬鹿トリオが酒に眼鏡をつっこむ「メガネ酒」を作って飲んでました。そう、いつだって彼らは地獄。とっても楽しくて魅力的な地獄なんだけど、気を許すと取り込まれそうになるから怖い。巻き込まれるもぐさん&加藤真弓ちゃんが気の毒でした。
ってことで狐火さんの新曲続マイハツルア、みんな聴いてね。