それでいいっしょ

ゲイHIPHOPライター鼎のブログ

死んじゃったあの子の話②

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自殺してしまったもう一人同級生の話を。

 

あたしは地方の、昔でいうスパルタ校に通っていた。年間に40人以上東大に受かってるような高校だった。ちなみに入学時の成績トップ30人はまた別にされて、東大や医学部を目指す人たちに区分けされてた。

あたしは中学の時は勉強が得意だったけど、高校に入ったらもうラリラリパーなオカマだったので当然普通科の、それも私立文系馬鹿クラスで落ちこぼれてた。校則も厳しくて、ケータイの持ち込みだとか眉毛検査とか無許可チャリ通学だとかでつかまったりして次々と問題を起こして、学校謹慎になったり反省文書かされたり、自業自得だけどなんでそういうどうでもよいことでこんなに抑圧されなきゃいけないのかわからなくって鬱っぽくなってて正直言って人生で一番苦痛な時期だった。

それでもその私文クラスの半分はMARCH以上の大学に行ってたし、みんな基本的に「学力を身に着けることがどう人生で活きるか」「要領よく色々と我慢しながらルールを守って生活する」ということを理解できる要領のよい人たちだった。あたしは大学進学にもあまり興味がなかったし、音楽と小説だけに浸かっていて本当に勉強のできない頭のおかしいオカマとして浮いてたけど、その要領の良くてお勉強がお出来になる同級生たちにいじられたりしながら、彼らを受け入れてるふりして心の中では「用意されたレールから外れることができないひとたち」って見下したりして、自分の中でバランスを取ってそれなりにうまくやってたんだわ。あんま大きな声じゃ言えないけど。同じように落ちこぼれたギャルっぽい女の子たちとは仲良かったんだけどね。皆で指定以外のラルフのセーター着て昭和第一のカバン持って放課後に柏で遊んでるのを先生に見つかってしまって、全速力で走って逃げ切ったのは今でも思い出して笑ってる。

 

いっつも学食とかでいじってくるふとっちょの男の子がいたの。でもその子は特進コースの国立大理系クラスの子で、おちゃらけたキャラの割にはしっかり勉強はしてた感じだった。あっち側の人なんだなってなんとなく思ってた。

当時あたしはhip hopが好きって公言してたんだけど、ある日「ウィルスミス好き?」ってその子に聞かれて、フレッシュプリンス時代の方が好きかなっていう本心は黙ってて、「好きだよ~、gettin jiggy wit itとか好き」って話を合わせてたら喜んでてさ。
それからいっつも「ウェルカムトゥマイアミ!」って振ってくるようになって、あたしは「だりいな」って思いながら「ヴィエンビニードマイアミ」ってちゃんとノって返してたのね。でもウィルスミスとか聴いてる同級生って珍しかったし、絡んでてそれなりに楽しかった。

やっとの想いで卒業できたんだけど、もちろんどこの大学にも受からなくて依然として鬱っぽくて意図的に同級生とは疎遠にしちゃったんだ。そんで浪人中でも予備校であまりの点数の低さに首切られたり、宅浪と言いながらほとんど何もしなかくて。でもまあ、結局小論文と国語英語だけで某芸術学部に受かったりと激動の一年間を過ごしてたの。

そんで進学したら大学の授業は面白いし、東京を経験して楽しかったし、ついでに二丁目にいったりとか。その後、就職したりとか、アメリカで働いたりとかなんとか生きてて。お金はなかったけど、友人に恵まれたり、それなりに刺激的に過ごせた20代を経てから30過ぎてある日気まぐれでFACEBOOKを始めたら高校の同級生から次々とコンタクトが来た。
えーヤダ!ってのが素直な最初の気持ち。だって国立大学とか出て文部科学省とかに入っちゃうようなエリートさんたちと何話せばいいのよ。お前ら興味本位だろ絶対。見せものじゃねーんだよって思っちゃった。だから一斉に友達申請を拒否してやりたくなった。FACEBOOKテロ
でもあたしはもう大人だ。彼らを受け入れなければいけない。そう言い聞かせて友達申請を許可したのね。でも彼らも大人になってて、こんなあたしに敬意を払うようになってくれたの。皆会いたい会いたいって言ってくれて嬉しかった。

そういう葛藤があったfacebook秘話だったんだけど、同窓会を開いてくれたことがあったのね。銀座のメキシカンで会ったんだ。相変わらずスカしてるよねー。地方都市の高校の同窓会がなんで銀座なのよ。取手東急の上にあったサイゼでいいだろうがよ。まあ美味しかったから許すけど。

 

そんで皆元気ー?みたいな話をしていて盛り上がったりしてて。その時に「そういえばあいつ死んだんだよ」って誰かが教えてくれた。それが例のウィルスミスの子だった。

 

え?なんで?え?え?
びっくりしてパニックになっちゃった。

 

大学在学中に鬱になってそのまま自殺してしまったらしい。彼がその胸にどんな嵐を抱えてたのかはあたしにはわからない。闇が深いんだよ、高学歴であることを求める家庭って。財閥の子とかもいたし、医者の子とかもいたけど、あたしが一生かかっても理解できないようなプレシャーと戦ったりしてる。だから無責任に責めちゃいけないって理屈はわかってる。でもあんないい子が若くして命を投げ捨てちゃいけないんだよ。

頭も良くって要領も良くって、あたしなんかよりもよっぽどいい人生送れるはずだったんだ。なんて思ったけど、結局そんなのは外野のヤジでしかない。そんなのはわかってるけど、わかりたくない。でも会いたいと思った時に会えないこの寂しさの責任を彼らは取ってくれない

 

今でも好んでたまにウィルスミスを聴くよ。

ウィルスミス、ってフレッシュプリンス時代に比べるとセルアウトだけど、トラックマスターズが手掛けててキャッチーなんだよね。今でも大好き。


彼への追悼曲だ。
あの子の「ウェルカムトゥマイアミ!」ってネタ振りがとても恋しいよ。

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