無職の一週間の始まり始まり。今日も今日とて、することがない。なのでmejaばっかり聴いている。アラサーかアラフォーだったら皆一斉に「懐かしい!」って声を揃えて言うだろう。20代の子達だとあまり馴染みがないかもしれない。
meja
Mejaは1990年代に大活躍したスウェーデンのシンガーだ。Legacy Of SoundというグループでボーカルをとったあとにアルバムMejaで96年にデビュー。How Crazy Are You?が大ヒットし、日本でも売れに売れた。パラッパンパラッパンと口ずさみたくなるキャッチーなメロディに、北欧らしい軽いサウンド、そしてmejaの透明感のある声。時代にも合っていて、テレビなんかでもよく流れてた。王様のブランチなんかでも三宿のスイーツ特集みたいな企画の際はBGMとして流れていた。
このヒットのおかげでスウェーデンの歌手と言えばThe CardigansとMeja、ってくらいメジャーな存在になった。でも考えてみるとスウェーディッシュポップの大御所であるトーレヨハンソンは一切Mejaと絡んではいなくて、Mejaのアルバムを手掛けたのはDouglas Carrという人だったから音楽的にはカーディガンズよりはAce of baseに近い。
そしてHow Crazy Are You?はあまりにも売れすぎた。スパガのwannabeやジャミロクワイのVirtual Insanityのように大ヒットソングはすぐに飽きられて、歌手としてのMejaの存在価値も落としてしまった。
それ故に中古の100円CDの常連になってしまったこのアルバムだが、実はとても良い出来だった。どの曲もアコースティックでポップ。カントリーミュージックよりも軽くて爽やか。洗濯用洗剤やコーンフレークなどのCMなんかにも使えそうな曲ばかりだ。特にRainbow、My best friend、I'm missing youは本当に良かった。
Seven sisters
98年にMejaは2ndアルバム「Seven sisters」で見事にカムバックする。シングル曲のAll'bout moneyはHow Crazy Are You?ほどではないが大ヒット。J-waveのTokio hot100でも何週か1位をキープしていたのを覚えている。米国のビルボードチャートでも27位と大健闘していた。
前作と同じく、メインプロデューサーにDouglas Carrを迎えたSeven sistersはAll'bout moneyの他にもPop&Television、Lay me down、Intimacyなど名曲を収録。一発屋という汚名を返上し、このまま順調に歌手活動を続けていくかと思われた。
2000年にはリッキーマーティンのPrivate Emotionに参加。ヨーロッパ市場を狙ったとしか思えない典型的なサルサバラードだったこの曲もちょっぴりヒットした。
Realitales
しかし残念ながら2000年に発表された3作目Realitalesで突然迷走する。
髪を黒く染め上げてまさかのヒッピー路線。待望されたシングル曲hippies in the 60'sは蓋を開けてみればロック調を前面に押し出していて、悪くはないけれども決してあたしたちが望んだmejaではなかった。売れっ子シンガーだったアラニスモリセットがインドに傾倒してサンキューインディアと歌っていた時期があったが、メイヤはヒッピーに傾倒してしまったのである。
それでもhippies in the 60'sはなんとか小ヒットとなったが、続くSpritsはインド感を強めた曲だった。あたしたちの知っているmejaはもういないんだという失望しかなかったし、実際にその頃からMejaはチャートから離れていった。
Mellow
そして2004年にでた4作目Mellowはカバーアルバムだった。でもこれが見事にヒッピー期を抜けてJazz路線になっていてなかなかよかった。ジョニ・ミチェッルの名曲などをさらりと薄い声で歌い上げている。ノラ・ジョーンズには及ばないものの、Jazz特有の重さがなく、気負わずに聴ける良質なアルバムだった。その姿は全盛期のMejaではなかったが、でも一皮も二皮も剥けた、そんな印象。
Urban Gypsy
2009年に5作目、Urban Gypsyを出す。しかも売れなくなったからか配信のみの販売。やっと入手したものの、「えー今度はジプシー?」って思わないでもなかったが、聴いてみたら意外と初心に返った名作だった。初期に比べるとアコースティック路線を強めてポップさが控えめにはなっているが、RegretsなんかはMejaっぽい名曲だと思った。
アニメイヤ ジブリ・ソングス
そんな風にMejaの落ち着く先が見えたかと思いきや、2010年の6作目で問題作をぶっこんできた。日本限定のジブリのカバー企画である。「お金が必要だったのね」と思わずにはいられない。いや、元気そうなMejaの声が聴けるのはいいし、自分もそれなりにジブリは好きだったんだけれど、売れ専すぎてちょっと悲しい。
Stroboscope Sky
そうして冷や冷やさせながらも2014年にはStroboscope Skyという7作目を発表。これはUrban Gypsyと同じような路線で中々良かったです。当たり障りのない、と言ってしまえばそれまでなんだけれど、でも耳障りが良くって、ちょっと安心した。
<番外編>
※ベスト盤企画の矢井田瞳のカバー。
メイヤがデビューしてからちょうど20年。まだ47歳のメイヤは今でもたまにビルボードライブTOKYOでライブをしていたりする。たとえ、メイヤが使い古しのポッポシンガーと言われていても、ティーン時代をメイヤの曲で過ごした自分としてはこれからもメイヤを応援し続けたいと思うのである。