30過ぎてから花見が苦手になった。花粉が舞い散るなかシートを敷いて酒を飲むなんて絶対正気じゃない。しかも昼間暖かいからって薄着をしていくと夕方にはすっかり冷え込んでガタガタ震える。酔いと寒さですっかり体力を消耗して、鼻水と涙を垂れ流しながら体調を崩すのがオチだ。若いころは花見にも顔を出していたが、去年からは足を運んだ覚えはない。
今年も花見には触れずに生きて行こうと思ったんだけれど、たまたま浅草を歩いていたら満開の桜に遭遇してしまった。そうだった、浅草も桜の名所だったのだ。花見は好きではないけれど、桜が嫌いなわけではないのでゆっくりと歩いて見て回った。
向島から言問橋までの道路、隅田川を挟む堤防、そして隅田公園。どこも桜が満開だった。ここぞとばかりに町内会主体で出店を出していて、人混みも凄い。空いてる場所にシートを引いて宴会を開く人々もたくさんいた。隅田川にかかる桜橋ではお囃子も披露していたし、ちんどん屋なども回っていた。隅田川では桜を目的の水上バスや屋形船が絶え間なく行き来していた。
桜はとても綺麗だった。酒も飲まずにスタスタスタと進みながら過ごす花見は快適。向島長命寺には桜餅を求める長蛇の列ができていたし、台東スポーツセンターにはステージができていて、マイナーな演歌歌手が浅草のご老人たちを楽しませていた。すっかり春だ、春。
夜は夜で銭湯にでも行こうと思ってまた浅草を歩いたんだけれども、夜桜もまた良かった。照明に照らされてピンク色の桜がうっすらと浮き上がる。
いいもん見れたなあ。もう少しだけ見れると思うのでぜひ浅草に足を運んでみてはどうだろうか。