村上龍を生で見てきたよ

あたしは今、モーレツに興奮している！
憧れの！あの憧れの！村上龍を生で、しかも3メートル前くらいで見てきたのだ！
まじで過呼吸5秒前！

ちょっと仕事のあれやこれやでテレビ東京のビジネスフォーラム2016を見る機会を頂き、遠路はるばるギロッポンまで行ってきました。

www.tv-tokyo.co.jp

推定無職とはいえ、まだ会社に籍は置いてあるのでそのお付き合いも色々ありつつ、でも本当の目的はただ一つ！村上龍を見ることなのだ！

まずビジネスフォーラムってなんだよって話なんだけれども、ガイアの夜明けやカンブリア宮殿、そして機動刑事ジバン、じゃなくて未来世紀ジパングなどなどレベルの高い経済番組をいくつも放送するテレビ東京が、去年より開催しているイベントなのだ。しかもセミナーと銘打って、それぞれの出演者が番組に沿った企画をしてくれるというお得なイベントなのだ。カンブリア宮殿からは前述の村上龍と小池栄子、ガイアの夜明けからは江口洋介、他にもばっちりチリ足、坂下千里子にたかみなちゃんに大江麻理子パイセンが出ちゃうワケ。

ま、でも自分の目的はただ一つ！村上龍を見ることなのだ！(2回目)

そもそも村上龍って最近はカンブリア宮殿のおかげで一文化人として認識されてきてるけど、やっぱり偉大な作家であり、そして一人のアーティストだと自分は思っている。というのも、うっかり進学校に入ってしまって、逆に目的が見出せなくてつらかった高校時代に支えてくれたのは村上龍の小説だった。なんて書いちゃうと「はいはい、限りなく透明に近いブルーね」とか「どうせ69でしょ」とか思われるかもしれないけれど、悪いけれどそんなミーハーじゃない。
トパーズを愛し、イビサを読み耽り、ラインで泣いた、そんな筋金入りの龍ファンなのだ。ちなみに次点で昭和歌謡大全集、インザミソスープだったりする。なんて言っても読んだことがない人はイメージできないと思うけど、「3Pでいたぶられた風俗嬢がイクラを食べてお腹で孵化させてシャケを吐き出す」「四肢を切り落とされたマチコが言語派を操りながらイビサ島で踊り狂う」「電気信号を読み取る能力を持つユウコが今日もむなしくオナニーする」、そんな世界がそのままあたしの頭ン中には構築されて、ご存知のとおり今もそれは存在しているのだ。なんて言ってしまうと村上龍に対して失礼だけど、それくらい憧れの存在なのだ。

しかもどういうわけか手違いに手違いを重ねて手配された席は前から2番目。まじでラッキー。
んで初めて生で見る村上龍は昔に比べると確かに老けたけども、その知性と意志の強さが表情に表れていて、想像していた通りだった。もう感動ですよ。ローリンヒルを生で見たときみたいに奇声発したかったよ。良い大人なのでしなかったけど。しかも周りはビジネスマンばっかり。

このまま、村上龍のトークショーだったら良かったんだけれども、あくまでもそこはカンブリア宮殿、村上龍がメインホストを務め、アシスタントはやっぱり小池栄子、そして今回は日本電産株式会社の永守氏を迎え、日本電産の成り立ちから2020年問題にどう立ち向かうかを聞きながら進められた。結構自由に、でも論理的に話す永守氏の話をまとめながらちょいちょい返す村上龍、そしてあくまでも聞き役に徹する小池栄子。このバランスが素晴らしいよね。なにより生の小池栄子の美しさよ。一直線に刈り揃えられたショートボブ、そしてうなじからデコルテまでのスマートなライン。正直、小池栄子って大奥のお伝の「そなたは鬼じゃ」のイメージしかなかったんだけれど、実物は長身で体のバランスが整っててとても美しかった。女優というよりはモデルのようだった。それが中年男性2人の対談に良いアクセントを添えている。

肝心の永守氏も話がとてもうまくて冗談を交えてしまうもんだから、ところどころ会場に笑いの渦が起きる。例えば昭和20年代の貧しかった時代にどっかの社長の息子がチーズケーキを食べさせてもらってて、それがうらやましくて社長になりたかった、なんて話をしていたんだけど、村上龍が「それがハングリー精神というか原動力になったと」なんてうまくまとめるんだけれども、「んで、いざ食べようとするんだけども、（甘いものが）体に悪いと言われる歳になってしまった」と笑いを取りに来る。あとはカンブリア宮殿に出演したときも「新入社員にトイレ掃除をさせているって内容を放送したら新卒の応募がごっそり減った」なんて話も面白かった。

生の村上龍だよ、号泣しちゃったらどうしよう、なんて考えていたのに泣く間もなく永守氏の話に夢中になってしまった。トータルで1時間45分、ちょっと長丁場だったけれども、とっても充実したセミナーでした。しかしこの推定無職な身分のくせにありがたいビジネスセミナーを聞いてしまう矛盾。就職出来たら活かします！

ああ、でも本当に嬉しい。あたしがいくら物語を書こうとあの人の足元にも及ばないけれども、でもあの人みたいな作品が作りたいなって改めて認識させられました。とってもいい機会になりました。