三十路を過ぎてから二丁目に行く頻度が落ちた。じゃあ歩いていける距離のバーでいいじゃないか、と近所のお洒落なノンケバーに紛れ込み始めたのがここ最近。
そんなわけでオカマがノンケバーに通って思ったことをいくつか。
①オカマは珍しい
自分は「歩くカミングアウト」と言われるくらい、いつだって120パーセントオカマ。隠したところですぐばれちゃうから、もう諦めている。なのでノンケバーでもオープン釜なんだけど、オカマはやっぱり珍しいらしい。たしかに自分以外のオカマ客は見たことがない。まあ、確率的に言えばゲイやバイの客もいないこともないと思うんだけど、でも皆きっと必死に隠してるんだろうね。というわけで「下町に巣喰うオカマ」キャラはあたしの専売特許。
②オカマだけど意外と馴染んでる。
ここ最近、本当に馴染んできて自分でもびっくりしてる。最初は3か月に1回くらいお邪魔していて、「ぶっとび泥酔オカマが来た」的な扱いだったんだけど、せっせこ通っているうちに、まず女の子の友達ができて、なし崩し的に男の子とも話せるようになった。
閉鎖的な田舎で育ってきたので、幼少期からわりとオカマだとバカにされることが多かった。だから昔から男子とはちょっと距離を置いて接してきた(数名の例外はいる)。小学時代の昼休みのサッカーも苦痛だったし、中学時代も浮いてた。高校時代はギャルグループに所属してたし、大学でもオカマか女の子とばっか遊んでた。
考えてみたら、たぶん30年以上生きてきて、今が一番ノンケ男子と向き合えてる気がする。これは自分にとって大きな成長だと思う。
自分が行くのは良いバーばかりなのでホモフォビアの子もあんまりいないし、男子も女子も普通に絡んできてくれる。ああ、壁を作っていたのは自分だったのか、と少しだけ思った。
③音楽が好きな子が多い
お洒落なバーだからマニアックなお客さんが多い。
プロデューサーレベルで90年代のhip hopについて話してくれる人もいるし、ニューウェーブとか自分が全然わかんないジャンルの話にもなったりする。これはゲイバーにはない雰囲気だから新鮮だし、良い刺激を受ける。なにより自分が好きなものに対して話せるのってすっごい楽しいし、人が好きなものに対して語ってるのも聞いてて楽しい。一度、オカマvsノンケ男子2人という組み合わせだった時にGao扮するReal Gのhip hopレーベルG-starについて皆で語り合った日は今思うと本当に奇跡だった。
ゲイバーだとこうはいかない。ゲイは基本的にDIVA枠とアイドル枠が好きだからマドンナがどうのこうの、マライアがどうのこうの、聖子!明菜!モー娘!安室!ってそんな話ばっか。ま、それはそれで楽しいんだけどね。
④女の子が優しい
下町の女子ってなんであんなにオコゲ気質なんだろう。オカマってだけでみんな嬉しそうな顔をする。「あたしもゲイの友達がいて」「二丁目のお店のママと仲良くって」「職場にもオカマいるんだよね」と出るわ出るわ。挙句の果てに「呼んでないよ、ブス!」と言われる始末。女の子が入れるゲイバーの客層とあんま変わらんもん。というわけで今では自分もその飲み屋さんの女子部扱いです。
⑤男の子とも結構仲良い。
最初、男の子的には扱いに困ってたっぽい。こっちもノンケ男子と何の話したらいいかわかんないもん。でもね、男の子ってやっぱ音楽詳しいんだよね。「ご教授お願いします」って思ってしまうくらい詳しい人が沢山いる。なのでなんだかんだで音楽の話しているうちに仲良くなれた。
あとゲイバーとは違って、みんな自分に対してはまず下心がないじゃん。ラインを聞かれてグイグイ来ることもない。変な駆け引きや敬遠、そしてオカマ同士のマウンティングもない。それもすごい楽。酔っぱらってバカな話してアハハって笑って、してやったり顔でハイタッチして。その心地よさたるや。
でもたまに女の子が男の子にチヤホヤされているのを見るといいなーって羨ましくなっちゃう。あたしだってな、macのシャドウ塗ってRMKのマスカラ塗って、スライの服着て谷間見せて野獣みたいにいかつい男子にチヤホヤされるような人生歩みかったんだよー!!!!その辺は来世に期待だね。
⑥ゲイバーより色々楽
自分が行ってたゲイバーはギャーギャー騒ぐところが多くて。そのテンションでオールはつらいし、ボトル入れるのにだってお金はかかるし、電車で朝帰りしようとしたのに寝過ごして起きたら高尾だった時の絶望感は凄いし、もうとにかく体力とお金を使う。
そもそも短髪ガチムチ系じゃないから二丁目だと冷遇されるんだよね(まあ、その分上野や新橋だとそこそこモテんだけどさ)。そういうヒエラルキーとか気にしなくて済むのも楽。
というわけでノンケバーはとっても楽しいです。
ただ、お店とその客層によってはゲイがとっても嫌な目に合うこともあると思う。その点においては本当に恵まれてるんだなと、自分は。
なんていうか、セクシャリティやジェンダー云々の前に、まず自分と言う個があって、ちゃんと個として扱ってもらえるのが嬉しい。
ノンケバーはとっても楽しいです。
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